優しい
優しい小説
主人公の人生を淡々と描いていく小説
なんて思っているとラストで洪水のような涙が目から溢れてくるのでご注意を
私はそうなった
大きな何かがあるわけではない
どんでん返しがあるわけでもない
物語は「日常」
例えば、ちょっと気になる子との出会いや淡い期待に胸をときめかせたり、ルーティーンで物事をこなしていったり、合わない人との我慢大会だったり、なるべく関わらないように空気のような存在に徹したり、毎食何にしようなんて悩んだりといったごく普通の日常を描いていく
普通ってなに!?
と言われても困るが、何かに突出した主人公ではないことは確かだ
それなのに、なぜこんなに泣いたのだろう?と考えていて突然気付いた
自分が「特別でありたい」と思っていたということに
私の祖父も、父も、母も、親戚の何人もが、何かしらの功績を残している
表立っては書けないのだが、まぁとにかくすごいのだ
そんな家系で育っているのに、私には特になにもない
完全なる落ちこぼれなのだ
アウトプットは、読んですぐしか出来ず、すぐ忘れてしまう
勉強も苦手
運動は好きだが、誰かと勝負したいと思わないしやりたくない
運良く、書店員の仕事は楽しく、毎日色が違うから唯一自分に合っていたのかもしれない
頑張れば頑張るほど、認めてもらえることもあるし、嫉妬されることもあった
それでも頑張れたのは、認めてくれる人やお客様がいたから
そこで、若かりし私は勘違いをした
「特別」になれたのかも!って
追いつけるかもって(誰に?というツッコミは受け付けない)
ライフの中で澄穂という子が登場する
その子が言った台詞を読んで「特別」じゃなくてもいいんじゃないか?そもそもどうして特別でありたいなんて思っていたのだろう?今の私を良いと思ってくれる人たちだって応援してくれる人たちだっているのに
恥じた
髪の毛とか身体とか、ぐしゃぐしゃーーーーーーってした
私は私で、私しか歩めない道がある
自分を大切に出来るのは自分しかいない
当然な話だけど、何度も忘れてしまう
だから、戻してくれた
道を見失っていた心を
毎日ご飯食べて、時に贅沢して
お風呂に入れて
笑いあえて
元気でいる
その中で、ちょこっと達成感が味わえる
充分なのに
求めてしまう
それも、私
決めつけないで自由にフットワーク軽くのびのび出来る自分でいよう
上手くいかなくても
不器用でも
私なんだと認める
ライフの中の会話で気付かされた
そして最後
少しずつ心が変わっていく自分に向き合って最後の最後
他の人から見たら小さな一歩に見えるかもしれない
さっさとしなよ!と急かしたり焦らせたりする事かもしれない
でも
それでも
本人にとって大きな一歩
勇気を振り絞って前へ進む一歩
私を含め普通の人にとって、ここに行き着くまでにどれだけ遠回りをするか、どれだけ悩み涙を流し苦労をするか
そう考えたら、主人公の勇気に涙が止まらなかった
私は小野寺さんの描く、ライフの主人公のように大きな一歩を踏み出せるだろうか
願わくば、その切っ掛けを逃さないくらいにはフットワークを軽くしておきたいと思う
小野寺さんの小説は、まだ一冊しか読んでいない
全作品読む!
そう思う程、小野寺史宜さんは、私に勇気と気付きをくれたのだ
心からの小説は、こんなにも人の心に届くのだなと思った
おすすめしてくださった方へ
小野寺さんの本と出会わせてくれてありがとうございます!!他の作品も読みます!!