最近、自分で読みたい本を自分で選べるようになってきた息子。
図書館に1週間のうち3回は行くので少し飽きてきたかなと思わせる雰囲気が漂っていた。
ふと「ねぇ。ママが読む本を絵本以外で選んでくれないかな。棚で言うとここからこのあたりの本ならどの本を選んでも読めるから」と伝えてみた。男の子なので「え、めんどい」と言われるかなと思って期待していなかった。するとあっさりと「うんいいよ」と選び始めた。児童書はかなりの冊数があり、絵本以外も充実しているので逆に「え?いいの?」なんていう気分になった。
人に選んでもらうのは、ワクワクするなぁと待っている間考えていた。特に息子に選んでもらうのは今しか出来ないことなのではなかろうか。
時間にしたら数分。けれど、私には大好きなディズニーランドにいるようなドキドキ感と興奮を味わえる長い時間に感じられた。
数分後、息子が手にとってきたのが本書。渡すときの一言が秀逸。
「面白いかどうか、分からないけれど。これ読んでないし。」
悶絶しましたね。えぇ。お母さんじゃなくても分かってくれると思う。この何とも言えない台詞。過剰反応をすると今後選んでくれなくなりそうなので、嬉しい表情と「ありがとう」と伝えて借りました。
その後の息子の一言。
「あぁ、図書館ってやっぱり楽しい!もっといたい。」
目が飛び出そうでした。めちゃくちゃ嬉しかった。図書館も本屋も好きになってもらいたい私にとって最高の言葉!!!夕飯前だったので帰宅したけれど、本当はずっといたかった。
寝る前に息子は自分で2冊、ママは選んでくれた本を読んだ。
『ハロウィンの犬』は絵がとてもかわいい。女の子の表情が共感しやすくコロコロ変わるのが良い。愛犬フリル(改めグリル)と不思議な犬の世界へ行くお話。ちゃんと子どもの心に伝わりやすいように世界へ行く切っ掛けが理解しやすい。ハロウィン・パーティーを知らない子もイメージしやすいだろうと思う。絵がほどよく、文章もルビがふってあるので小学校低学年から読めそう。内容にじんわりきちゃう。大人も楽しめる本だと思う。イラストの色。これまた良い。あったかいと言えば良いか、優しいと言えば良いか。まぁ、とにかくかわいいのだ。文章もイラストの傍を元気に歩くように踊っているように見えるから読んでいてわくわくする。長すぎないから他も読んでみたくなる。ラストページには10月の行事、ハロウィンとは何かを書いた文章があり読み応えがある。値段だけが気になるところ。
読みながら、うるっときていたら息子がにやっと笑ってこっちを見ていた。何か悔しい。「ママ読むのはやっ!明日も図書館行こう。選んであげる」なんて言われてしまった。
少し話は戻り、帰宅時に「人によって面白い本は違うんだよ。でも、自分がどう好きかを伝えることは出来るし、最初が苦手でも後から好きに変わることはあるんだよ。選んでくれた本が面白いかつまらないかは、まだ分からない。でも、選んでくれたことが嬉しいし、つまんない本を読んでも本は楽しいから良いんだよ」と伝えたところ「ママは本屋さんだったから、たくさん読んでいるもんね」と嬉しそうに言ってくれた。
夜の読書タイム。その後はもちろん絵本タイムで10冊読んだ。いつも通り喉が死んでしまった。それでも、伝えたい気持ちが息子に伝わっていることが嬉しくて「読んで」と言われるたびに喉が枯れるまで読んでしまう。
本が彼にとって身近なものであって欲しい。ふらっと手にとり、そして大人になって自分のお金が稼げるようになったら気に入った本だけでも購入して手元に置いて欲しいと願う。本屋も図書館も身近な存在で「なんか行くと楽しい場所」であって欲しいと願う。
何故、本なのか。それは単純に本は人が書いた書物であり、魂であり、繋がれるからだ。他の物では表現できない「心に寄り添うもの」が込められているから。本を読むことで空間も、世界観も、想像力も、楽しみも自分だけのものだからだ。本を読む時間がない時代もあるだろう。だからこそ、3歳からの絵本タイムを大切にしているし、受験や勉強に集中しなくてはならないときは読むことが自然と減ることも話している。けれど、それでもまた読みたくなって手に取ってしまうのが本の良いところなのだ。いつでも待っていてくれる。いつでも夢中になって読んだ自分と今を結び付けてくれる。その先の未来も。今、読めるときに読んでおくことが、とんでもなく楽しいことだと伝え続けている。
息子が選んでくれた初めての記念すべき1冊が、本書で良かったと心から思う。
さて、今日は何を選んでくれるのかな。楽しみだ。
オマケ
息子が選んだ本は「きつねのかぎや シリーズ」面白いよ。