とても胸に訴えかけてくる小説だった。
話は重いと感じる人は重いと思う。
辛いと感じる人は辛いと思う。
私は「勇気」をもらえた。
突然行方不明になった子どもたち。現実の学校と、もうひとつの学校。
物語の最初はストーリーが不思議で理解するまでに時間がかかった。
読み進めていくうち、少しずつ少しずつ心に言葉が染みるようになった。
学校という狭い世界の中で生きる子たちの中には、本当に逃げ出したくなるようなこともあると思う。私も経験しているから全部とは言わないけれど、あのいるようでいないような自分の存在は忘れもしない感覚だということは分かる。
その中で勇気を出す一歩を踏み出すのは、どれだけの気力を必要とするだろうか。想像もつかない。
加奈、バネッサ、亮太、みはる、聖哉。
この子たちの紡ぐ想いをどうか読んで、そして友達や家族、隣にいる人と語り合ってもらいたいと思った。
ラストで聖哉が親と子は別の人間なのだと認識する瞬間が衝撃だった。
そうか、そうなんだ。自分の子のことは別の人間だと思いながら接してきているつもりだ。でも、自分が子どもだったときのことを考えると、それが出来なかったんだと思える。すごいな聖哉。ものすごく強い子じゃないか。かっこよすぎる。
本当に読んでもらいたい1冊。
心に残った言葉
p327
だれも口をきいてくれなくても、だいじょうぶ。向こうは何も変わってなくても、私は、変われる。私が変わって、周りも変える」