日々ぷかぷか 笑顔が好き

8歳の息子のママです。顔タイプ診断アドバイザー一級取得。服やコスメ、アクセサリーが好き。本も好き。写真を撮るのが好き。好きで溢れる毎日。2022年は何か仕事として形にしたいと考え中。下を向いて歩くのではなく顔を上げて笑顔で歩むためのお役に立てれば幸いです。

【読書】私の証明 星野文月 百万年書房

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 1月末。

ずっと応援してくださっている出版社の方と中央線沿線の本屋巡りをした。予定を合わせられた日が紹介してくださった何店舗かの本屋さんのお休みだった。残念だったが、下調べして行ったとしても、合う日にちがそこだけだったのだから仕方ないし、一緒に話しながら本屋を見てまわれる贅沢が味わえたので心から幸せなのだ。

 

 その書店まわりのときに、吉祥寺にある本屋。BOOKSルーエに入店した。呼ばれるようにこの本の棚のところへ行って、購入したいと思った。装丁や本の輝きに気を取られていたので、フェア(書店員さんがこれを届けたい!そのためには、この本が必要だ!と選書したり、時には出版社からこんなフェアをしてくださいと頼まれて並べる棚のこと)←伝わるかなぁ。をしていることは後で気付いたのだが、すごく愛と応援と言葉の力を感じるフェアだった。

 

 コロナウィルスの緊急事態宣言発令を受けて、幼稚園がお休みになり、なかなか本を読む時間がとれなかった。

 

 あるとき、ふと、無性に読みたくなった。(数は多くなくても、積読は大事だと思う。いま、必要な言葉を持っている本が呼んでくれる感覚になるから)そして時間をもらって読み始めた。

 

 一気に20代の自分になった。道の見えない真っ暗な中で、もがいていた私。書き殴るように綴っていた日記。誰もいない公園で泣きながら月を見ていた私。接客が好きで、ミニストップのレジに専念していた私。笑顔より心が泣いている時間が多かったかもしれない。それだけ、不安定だったのだろう。星野さんの本を読んで強烈に理解した。

 

 そっか。『私の証明』がしたかったのか。と。

 

 書店員として働いていたときも、そうだ。私の証明、あなたの証明、誰かの証明を本を通じて届けたかったのだ。

 

 星野文月さんは、まっすぐだ。と思った。嘘のない、真っ白くて、しん、としていると思った。

 

 大手の書店を辞め、色々なことが重なって、苦しくて辛くて逃げ出したくなったことがあった。親には友達と一緒といって、1人で旅に出た。

広島。しかも、厳島神社までリンクしていて、星野文月さんの心細さが胸に染みてしまった。

 

 今、私は30代後半。10年以上の時が流れても、思い出すと胸が苦しくなったり、あのときこうしていたらよかったという想いに捕われてしまうときがある。

 

 私は、あるときから忘れっぽくて、何か言われても思い出せなくなってしまった。悲しいことは覚えているのに。星野さんの本の最後に「痛みと共に自分の道を歩いていく」とあって、向き合うとはこういうことなのだなと感じた。同時に、向き合えていないから、いつまでも辛いのかなと思った。

 

 隠さず書くって、どれだけ勇気のいることだろう。

 

自分と。そして、自分の周りにいる大切な人たちと向き合う勇気。その先の何事にも諦めない力と希望。

 

その力が星野さんの本からは感じられた。

 

 今、私に必要な言葉が、この本には書かれてあって、あぁ、本の力、言葉の力はなんて尊いのだろうと改めて感じた。

 

 本が読めない時期もある。そんなときは無理に読まず流れに身を任せればいい。

 本が読める心の余裕があるときは、きっとどこかの言葉が心の琴線に触れるのだと思う。

 

 私は本の力を心から信じている。

 

 星野文月さんの言葉は、私の胸の奥に届いた。読み終わり、そっと本を抱きしめてしまうほどに。

 とても愛おしく感じる一冊だった。