子どもは親を選べない。生きていると何度か耳にする言葉。
そして、物語の中でも表現の端々に感じられるテーマの1つだと感じます。
彼女が造り上げた城は、まさに、行き場のない子どもたちの居場所である・・・と思って読んでいました。
しかし、この物語が伝えたいこと。
それは、居場所を提供してもらうことや、暴力に対する何か救いをということだけではないと感じました。
1人の人間が懺悔・後悔・諦めといった感情に引きずられる事なく、自分の足で揺らがず立って歩いていく強さ。勉強が守る。誰誰が守ってくれる。そういうことじゃなく「己はどうありたいのか」を強く心に問わせる一冊だと思いました。
私は、自分の足場が揺らいでばかりいました。
それは「自分が揺らいでいるからだ」と気付く切っ掛けをくれたのは、まだ、3歳にもならない息子の存在でした。
赤裸々に書くのは、恥ずかしいのでここには書きませんが、とにかく苦しくて抜け出したくて、最近やっと「おかしい」ということにも気付けるようになりました。
世界が狭いのは、本人だけの力では気付けない。なんとか足掻いて抜け出した先に、受け止めてくれる人がいる。
本書を読んでいて、私の心は荒れ狂う波のように変化しました。
救われたと思った
突き落とされたと思った
居場所が出来たと思った
居場所が汚されたと思った
逃げろと思った
甘えたいと思った
もう読めないと思った
泣き叫びたくなった
そして
自分の意思で一歩を踏み出した
その先に、涙が溢れるほどの願いと祈りを感じた
がむしゃらにでもいい
かっこわるくてもいい
とにかく生きてほしいと思った
本当に、叫びと祈りと希望(これは、私の願いです)を感じる早見さんの血と涙の咆哮を感じました。
苦しかったです。
でも、きっといます。
この物語に登場したように動けなくなっている人たちが。
自分を見失ってしまう人たちが。
怖さ。優しさ。ノリや流れ。
あの、独特な空気を何と言ったらいいのかわかりません。
けれど、恍惚とする感覚になるのだろうなと想像します。
私はただ、祈るのみ。
自分で自分を殺すことだけはしないで欲しいと。