ふいに図書館で目に入ってきたこちらの書籍。
双子のママが鼓舞奮闘し「ただひとつの想い」だけを願って祈るだけではなく形にしていく日々が真っ直ぐ正直に書かれていました。
中原美智子さんのふたごじてんしゃHPはこちら
→https://futago-jitensya.jp/wish/
私が本書を手に取ったのは情報を知っていたからではなく、双子のママだからでもなく、以前息子と歩いていた時のことを思い出したからでした。
信号を渡っているとき、自転車の前後に子どもを乗せたお母さんがバランスを崩してしまったのです。
左折をする車は気付いて止まってくれましたが、見ていなかったらと思うとゾッとしました。
周りの人はどうして良いか分からなかったのでしょう。そのまま去って行きました。
しかし私も一人息子のママ。声をかけて自転車を起こすのを手伝おうと実行に移そうとしました。けれど、ママの表情を見たら声が出なくなってしまいました。
驚いて泣き叫ぶ子どもに「ごめんね、ごめんね」と謝り、ご自身は苦しそうに歯を食いしばり、前にいた子どもが落ちてしまったので抱え上げていました。
もう一度トライして「自転車起こすのを手伝います」と伝えると「大丈夫ですから」と泣きそうな顔で去って行きました。
私には何が出来たのだろう?と考え、声をかけるべきだったのか、かけずにいた方が良かったのか、ぐるぐるぐるぐるしていました。
怪獣くんは「ママの声がちゃんと聞こえなかったんじゃないかな」と言ってくれました。
その日の夕方、怪獣くんと図書館へ行った時この本と出会ったのです。
読んでいくうちに、あのときのお母さんの気持ちが少しだけ自分の中で落とし込めた気がします。
きっと、ギリギリだったんだ。
心無い言葉もたくさんかけられていたのかもしれない。
怖かったのかもしれない。
パニックだったのかもしれない。
何より声をかけられたら心が折れてしまうと思ったのかもしれない。
1人とはいえ、私も良く泣く怪獣くんを連れて朝散歩をしていたとき「泣き止ませられないなら家にいな!」と言われたりして苦しかったことを覚えています。
優しい人もいたのに、泣いちゃう!と思って好意を突っぱねてしまったこともあります。
あの時出会ったママさんに、この本を届けられたら。迷惑かもしれないけれど、素敵な自転車があるんですよ!と伝えたい。
限界ギリギリで頑張っている全てのお母さんが、ふたごじてんしゃ(双子じゃなくても大丈夫)を知って世界がもっと明るく優しく感じられるといいなと思いました。
もう本屋ではない私が実際にフェアをして伝えることは出来ないけれど、文章を書くことで届けられたら。読んでくれる人がいっぱいいて、ふたごじてんしゃに興味を持ってくれたら。
素敵なサイクルになるなと思いました。
私もそろそろ仕事を探さなくてはなりません。家庭も守りつつ、誰かの力になれることを見つけられますように。
そして、本書を出版した出版社はきっと、あったかくて強くて優しい嘘のない素敵な出版社なのかなと感じました。本が愛されているから。人を大切にしていると感じられたから。
私も誰かの心に優しさを届ける仕事がしたいなと強く思わされる一冊でした。